ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
黎「...藤坂黎。2年です」
沙「日々野沙絃。2年」
「...千景涼依、です」
沙「知ってますよ」
「なんで?」
沙「里苑さんが教えてくれました」
「...じゃあ俺がいる場所も、」
黎「里苑さんっス」
そうだろうとは思ってたけど。それ以外ある訳ないんだけども。
へらへらーっと笑いながら俺のことを楽しそうに話してる里苑を思い浮かべると無性に腹が立つ。
あいつ、一回首絞めとくか。
俺にだって牙があることを教えといてやろう。
「(俺、ひ弱に見えるのか...)」
放課後人知れずピアノを弾いてる時点でもうひ弱か。
そりぁ里苑に比べたら大分弱々しい。
いやまずあいつと比べるのは不適切だ。
俺は何もかも里苑には敵わない。
自分ことだけじゃなくて、俺のことまでよく理解してるから、少し怖くなる。
夏「...涼依さんってついこの間まで部活出席してませんでしたよね」
「?そうだけど」
夏「また、再開したんですか?」
「なんで知ってるの?」
夏「カクカクシカジカ」
「...」
どうして?なんで?
そう問われると真っ先に目を潤ませる彼女の姿がありありと思い出される。
理由は、たったそれだけ。
初めて“女のため”に自らの身と時間を捧げてる。
今までそういう、誰かのためにとか、誰かの笑顔がみたいからとか。
くだらない。無駄だと思ってたんだ。
「今回の文化祭は、特別だから」
これが、最初で最後だ。
来年にはこの学校を卒業して、彼女の前で全身全霊をかけて踊る機会はなくなってしまう。
「彼女がみた中で一番のパフォーマンスを出来るように、本番が終わったら倒れてもいい。また、俺のパフォーマンスをみてどうしようもないくらい泣いて欲しい」