ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
沙「そんな切ないこと言ってないで、誰なんです?」
「は?」
沙「涼依さんの好きな人」
仮にも先輩だというのに首に手を回してやけに馴れ馴れしく絡んでくる。
マジでこいつなんなの。面倒くせぇぇ...
他人の恋事情聞いてどうするわけ。女子かよ。
と思いながらも、優しい声色を保つことに努め好きな人はいないと否定する。
そこで引き下がってくれるならもともとこんなことしてない。
沙「恥ずかしがらないで大丈夫っスよ」
「ホントに勘弁して欲しいんだけど」
夏「沙絃、涼依さんの顔憔悴しきってるから」
沙「音楽室暑いっスか?」
「普通に考えてそれおかしいだろ」
さっきまで適温だったよ。
沙絃の腕を引き剥がすと、ピアノの脇においてある水筒に手を伸ばす。
ちょっと落ち着こう。どうもこいつを相手にしてると頭に血が上りそうになる。
ぐっと水筒を傾けるのと音楽室の扉が跳ね返って戻ってるほど乱暴に開けられたのはコンマ一秒の差だった。
そこにはうっすらと汗を滲ませながらも息ひとつ切らさないで睨み付けるようにこちらをみる男が。
あ、なんか、架月に似合いそうな男。
さっき想像したのと合致するような見た目だった。
沙「!? ソラ...!なんでここが...!」
空「てめぇ、クラスの手伝いしろっつってんだろ」
沙「そんな汗だくになって俺を探すほど俺が必要なんだな」
夏、黎「うわぁ...」
空「慣れねぇナルシスト発言やめろ」
沙絃と、おそらく黎や夏閃とも友達のようだ。
ふと俺と目があって、取り敢えずお互い会釈をする。
空「...そんなことより、」
一気に、彼の表情が曇る。
眉を下げて先程までの怒ってるような無表情に、色がついたように。