ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
文化祭まであと指折りで数えられるようになった頃。





校内はお祭りムード一色で、全員どこかソワソワしている。


放課後の賑わいも一層高まってきた。





「(毎年恒例だよなぁ...この独特の雰囲気)」





廊下を歩きながら、イヤホンを耳につける。





直接脳に響くような力強いブラックミュージックを聴きながら俯き勝ちに音楽室に迷わず足を進めていたが、ふいに窓の外が気になり立ち止まった。





校庭では2年生が作業をしていた。


最近お馴染みのメンバーはやけに目立つ容姿をしてるから見付けやすい。





「(...あ、いた)」





自分の目の届く範囲で彼女の姿を探すと、懲りずにトンカチを元気よく振り上げていた。





「(危なっかしいーなぁ...)」





また同じところ叩いたらどうすんだよ。





周りの同級生たちも、内心ドキドキしているんだろうけど、止めに入ってどうにかなる人ではないと理解しているのか、静かに見守っている。





病院にいった結果、指は見事折れていたらしい。


完治まではそれほどかからないと思うけど、あまり無理はしないほうが...





みていると、狙いを狂わせて右にトンカチがずれた。


幸い手の上でなく材料の上で一息つく。





当の本人は心配する同級生たちに笑いかけて再び手を動かす。





本当、“安静”“無理しない”という言葉を知らないのか。


見てるこっちが冷や汗をかく。





小さくため息を溢すと、それに反応したかのように架月が顔をあげた。





流れる汗を、肩に乗せたタオルで拭いながらへらっと笑ってトンカチを持ったまま手を振る。


ひとつに括った髪が右、左と揺れるのを追いかけながら小さく振り返す。





最初に聴いていた曲から4曲も過ぎていて、かなりの時間彼女をみていたことにようやく気づく。



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