ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
郁「お、涼依ー」
昼過ぎ。
ダンス部の発表が行われる体育館に行くと、それとなく飾り付けされていた。
もうすでに衣装に着替えて準備運動をしてた郁翔と穂陽、その他数名の部員。
衣装といっても黒いジャージ下に黒いパーカーという怪しげで簡単なもの。
柔軟体操中の郁翔に寄っていくと、「緊張してる?」と問われた。
衣装の入った袋の手提げ部分を握りしめて、一番に架月を思う。
俺を追う視線を想像して、指先が震える。
「今、緊張してきた」
郁「ははっまー踊り出せばそう気になんないでしょ」
な?と穂陽に話を振ると、彼も無言で頷いて俺をみた。
穂「涼依なら大丈夫」
根拠もない励ましに微笑してしまうが、「大丈夫」という言葉は不思議に力をくれる。
「ありがとう。着替えてくる」
郁穂「いってらっしゃい」
舞台裏に引っ込んでって、手早く制服から衣装に替える。
制服を畳んで衣装を入れていた袋に入れて端の方に寄せておく。
パーカーを目の上ギリギリまでくるように深く被ってステージに立つ。
広い体育館を一望して、架月はどこら辺にくるんだろうと考える。
観客席にいてくれたら分かりやすいんだけど...
上を見上げて架月の姿を作り出してみる。
郁「おぉ...涼依イケメン」
「...どーも」
穂「涼依だけパーカー被るってものいいかも」
郁「!ナイスアイディア!」
「え?マジ?」
それじゃあ架月を見つけにくくなる。
そんな私情を表に出すわけにもいかない(郁翔に言ったらウザそうだから)ので、納得しないまま賛成しておく。
俺だけパーカー...
人目を気にしないで踊れるからいいか。
いちいち架月のこと気にかけてたらまともなダンスにならない。
深呼吸を繰り返して頭の中で音楽を流す。
取り敢えず一曲通して踊ろうとするが、午前の里苑との会話を思い出して集中できない。
...困ったな。