ポジティブGIRLと愉快なBOYたち


郁「お、涼依ー」





昼過ぎ。





ダンス部の発表が行われる体育館に行くと、それとなく飾り付けされていた。





もうすでに衣装に着替えて準備運動をしてた郁翔と穂陽、その他数名の部員。


衣装といっても黒いジャージ下に黒いパーカーという怪しげで簡単なもの。





柔軟体操中の郁翔に寄っていくと、「緊張してる?」と問われた。





衣装の入った袋の手提げ部分を握りしめて、一番に架月を思う。


俺を追う視線を想像して、指先が震える。





「今、緊張してきた」



郁「ははっまー踊り出せばそう気になんないでしょ」





な?と穂陽に話を振ると、彼も無言で頷いて俺をみた。





穂「涼依なら大丈夫」





根拠もない励ましに微笑してしまうが、「大丈夫」という言葉は不思議に力をくれる。





「ありがとう。着替えてくる」



郁穂「いってらっしゃい」





舞台裏に引っ込んでって、手早く制服から衣装に替える。





制服を畳んで衣装を入れていた袋に入れて端の方に寄せておく。





パーカーを目の上ギリギリまでくるように深く被ってステージに立つ。





広い体育館を一望して、架月はどこら辺にくるんだろうと考える。


観客席にいてくれたら分かりやすいんだけど...





上を見上げて架月の姿を作り出してみる。





郁「おぉ...涼依イケメン」




「...どーも」




穂「涼依だけパーカー被るってものいいかも」




郁「!ナイスアイディア!」




「え?マジ?」





それじゃあ架月を見つけにくくなる。





そんな私情を表に出すわけにもいかない(郁翔に言ったらウザそうだから)ので、納得しないまま賛成しておく。





俺だけパーカー...


人目を気にしないで踊れるからいいか。






いちいち架月のこと気にかけてたらまともなダンスにならない。





深呼吸を繰り返して頭の中で音楽を流す。





取り敢えず一曲通して踊ろうとするが、午前の里苑との会話を思い出して集中できない。


...困ったな。




< 143 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop