ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
フェードアウトしていく動き。集中するのなんて簡単だと思っていたが、架月のせいでそうもいかないらしい。





...里苑のせいだ。そうしよう。





郁「あれ?やめちゃうの?」





やはり突っ込まれる。





踊り出したら余程の事がないと止まらない俺が序盤から調子が悪いことを不思議がってるのだろう。





「ん、や...ちょっとね」




穂「午前の出し物で疲れた?」




郁「えぇー困るよぉー」




「...大丈夫」






少しだけ。少しの間だけでいいから、おさまってくれ。


そのあとはいくらでも溢れ出ていいから。






穂「さて、あと1時間!軽く確認で合わせておこう」






気合いを入れ直すみたいに頬を叩いた穂陽の掛け声で、体育館にいるダンス部部員が舞台上に集まってくる。






音楽が流れるまで、静かに目を閉じていた。






架月と出逢ったときから、アルバムを一枚ずつ開いていくみたいに過去を振り返ってみる。





二度目に顔を合わせたときから、もう惹かれていた。





架月に恋する悠をみて、架月に興味を抱いた。


情けなく顔を歪ませて、それでも微笑む彼女に胸が高鳴った。





自分を見てくれている。それも、ずっと前から。





それだけでも十分なのに、今は...


心の奥、彼女の気持ちまでも手に入れたいなんておこがましいことを思ってて。





ーーー架月が俺の虜...?


笑える。何かの間違いだろ...?





瞳を開けた、その先にいる架月に手を伸ばす。





ふと消える彼女。胸のわだかまりは、蜃気楼なんかじゃなく。目の前にいる彼女が、蜃気楼みたいにぼやけてたんだ。


だから絶対に、手に入らないと悠は言っていた。





あんなに無邪気で騒がしい架月が儚く消える蜃気楼なんて言ったら、多分笑われる。





けど俺にとっては、高嶺の華なんだよ。





望んだって俺のものにはなってくれない。そんなの分かりきってる。


それでも...







ーーー虜になっていたのは、俺の方だったんだ。






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