ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
それくらいしか、俺にはないんだ。


ダンスでしか君を繋げておけないから。





俺は悠よりも不利なんだ、どう考えたって。だからこうして、無我夢中で君のために踊るしかない。





それしか方法がないなら、それに全力をかけるまで。





俺が踊る理由は、架月のため以外なにもない。





刻一刻と、終わりが近づく。俺の想いにケジメをつける時も、もうすぐそこまで来ている。





架月を見上げ、くっと目を細めた。


太陽の光でその表情はしっかりと認識できない。





笑っていても、泣いていても、どちらでもいい。


そこにいてくれるだけで、糧になるから。





密集した人々の熱気で、汗が顎を伝って足元に落ちていく。





ひとつひとつ、堕ちていく。





今日のために必死に練習した日々も、この文化祭も。


架月に全てを打ち明けた瞬間、虚無感ばかりが襲いそうだ。





なんのための時間だったのか、と。


架月に伝える一瞬だけのために、どれだけの刻を捧げてきたのだろう。





最初から結末のわかってる恋をして、きっと架月じゃない誰かなら後悔した。





それでも許せるのは、諦めがつくのは、架月があぁだから。





楽天的で、誰にも好かれる人で。好かれている分の思いを、彼女なりの何かで返しているように俺にはみえるから。





どうしようもなく夢中になって、でもきっちりとケジメをつけられるのは、それが至極当然のように感じるから。





彼女はどうしたって、違う誰かを想うんだ。





フェードアウトする音。拍手喝采のなか、最後に彼女を見上げる。





彼女がどんな表情でいるかはわからないけど、それでも構わず笑みをむけて舞台袖に退場していく。





騒がしい会場を背に、全員でハイタッチを交わす。





殆ど記憶がないけど、郁翔も穂陽も全員、満足そうにしているからなんともなかったと思う。





...あとは。私情を片付けるだけだ。





ホッと一息つく暇もなく、衣装のまま体育館を出る。





人混みのなか、架月をみつけれる自信はない。から、取り敢えず静かな体育館裏に避難して電話をかけてみる。









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