身代わり王子にご用心
いつまでもいては迷惑だから、と一番近い物部さんのアパートでの宅飲みで、打ち上げが行われた。
(私が気を失ってる間に会場の片付けは終わったらしい)
六畳間は大人10人が入るといっぱいで。体調が戻った私も台所で曽我部さんのお手伝いをした。
「ごめんね、ここでも手伝わせちゃって」
「いいえ。こういうのは好きですから」
赤のチェックシャツとGパン姿のラフな格好の曽我部さんは、酔いつぶれた人を軽く蹴りながら「邪魔!」っていう豪気さもある。
なんかさばさばしていて取っつきやすいな、と膝を着いてから作ったおつまみをテーブルに並べれば。一人の男性がじいっ……と私の手元を見てる。
あ、もしかしてこれが欲しいのかな? と手にしたタラモサラダを差し出した。
「これ、よかったらお召し上がりになりますか?」
「もちろん! でも、ボクとしてはそれよりも、君のそのふたつのプリンが食べたいな~」
え、プリン? どこにと思って周りを見れば、曽我部さんがその男性に笑顔でフライングアタックを掛け、撃沈させた。