身代わり王子にご用心




やっぱり、と思った。


マリアさんの忠告通り、藤沢さんは桂木さんの気持ちに気づいてた。


「……ごめんね……藤沢さん。私もどうしようもないから」

「謝らないでください! 桃花さんは何も悪くないじゃないですか」

「でも……藤沢さん、あなたは……桂木さんを……」


私が遠慮がちにそう言えば、藤沢さんの頬にパッと朱が散る。赤くなった彼女は本当に可愛らしい。


「や……やっぱりわかっちゃいました?」


両手を頬にやって恥じらう姿は、まさに女の子。私には絶対出来ない仕草だ。


「うん……気づいたのはパーティー辺りかな。桂木さんの婚約者に本気で怒ってたのは解ったから」

「や、やだ! もしかして見てたんですか~」


今度こそ両手で顔を覆う。耳まで真っ赤な彼女を、なぜ桂木さんは裏切るんだろう?


「うん。すごいな……と思って。私だったらあんなふうに立ち向かえないなって」

「え、そうですか? 桃花さんだって……」


指の間から、チラッとこちらを見る藤沢さんの目は何か言いたげだった。


「桃花さんだって、高宮さんの身代わりをしてたカイ王子と。婚約者候補の女性と無言で対決してたじゃないですか。


「えっ?」


何を言われてるのかわからない。婚約者候補と言えば、次期当主の昭治さんの娘の菜々子さんだったけど。彼女は私のことなんか歯牙にも掛けてない態度だったのだけど。

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