身代わり王子にご用心




「やっぱり……桃花さんって、ものすご~く鈍いですねえ」


肩を落として脱力感満載で言われても……自覚してるだけに申し訳ない。


「……あの……ごめん……ホントにわからないんだけど」

「仕方ないですね。教えてあげます! あのお嬢様、カイ王子を見ながら、桃花さんをすっごく意識してました。
だけど、桃花さんこそ全く歯牙にもかけない態度で、しかもカイ王子が完璧に桃花さんを守ってましたから。お嬢様の完敗って感じでした」

「……え~っと」


藤沢さんのその言葉に、どうコメントすればいいのやら。


「ふ、藤沢さんもずいぶん女の子らしいことを言うんだね」

「違いますよ! カッツーも富士美さんもそう思うって同意してくれましたから。私の乙女フィルターを通した勝手な妄想じゃありません!」


……乙女フィルター……。


藤沢さん……あなた普段はどんな妄想をなさっておられるんでしょう? いや、聞かなくていいけど。


というか、富士美さんまで見られてた? と意外な人の登場にどぎまぎしていると、鼻息を荒くした藤沢さんが教えてくれた。


「わたし、後で知ったんですけど。あの女性はカイ王子って知っていた葛城側が用意した、お妃候補の女性だったみたいですよ。
異国の王子の妃にさせて……将来は王妃の地位に就け、葛城に箔をつけようって魂胆だったみたいです」


……それで、ヴァルヌスのことをやたら引き合いに出していたんだ。と今になってやっと納得したけど。


カイ王子が私を守っていた……と感じたのは本当なんだ。


彼は彼なりに私を……守って。


思い出すだけで涙があふれそうになって、うつむいた。



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