身代わり王子にご用心



「わかりまひた~この不祥、藤沢 未来。お友達の為に一肌も二肌も脱ぎましょ~」

「え、受けちゃうの!?」


アルコールが入った私でも唖然とするほど、藤沢さんはあっさり承諾した。


けど、その目がこちらを向いて。なにやら不穏な気配がしたから逃げようとすれば、彼女にがっちりと腕に巻き付かれてしまいました。


「ただ~し! 桃花さんも一緒にってのが条件で~す」

「へ? え……ちょっ、それは」


だんだんと酔いが覚めてきたのか、とんでもない話に私は首を思いっきり横に振った。


「だ、駄目ですって! 私にはアパートが……」

「でもぉ~年明けには桜花が出てく上にぃ、春には建て替えの為に取り壊しが決まってるんですよねぇ? お引っ越し先は決めてるんですかあ?」


たぶん、桜花から聞いたんだろう。痛い点を突かれて、グッと言葉に詰まってしまう。


確かに、今みたいに2Kで家賃が月に3万なんて。駅の近くではなかなかない。新しい住まい探しが頓挫しかけてたのは事実だ。


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