身代わり王子にご用心
桜花と2人で住むつもりで探していたニ部屋の物件は、どれも家賃が5万以上。節約したい私としてはかなりキツイ条件で決められなかった。
「けど! 桜花がいないなら一部屋の物件を探します。だから……」
「この付近では一部屋でも二部屋でもそう変わりませんよ」
桂木さんからは、なぜか妙に威圧感のある微笑みを向けられた。
「水科さんさえよろしければ、いらしてください。未来も是非と言ってますし」
うわぁ……いきなり名前呼び、ですか。しかも寝入った彼女に、彼は優しく上着を掛けて抱き上げた。惚けたように2人を眺めていた私に、桂木さんが追加でとんでもないことをおっしゃいました。
「この計画の肝はあなたですよ、水科さん。不安ならば高宮も一緒に住まわせますから、逃げたりしないでくださいね」