身代わり王子にご用心




そのまま固まった姿勢でいても、次の声はしないし。たぶん寝言だろう。


ホウッと息を吐いてから、落ちた雑誌を拾おうとして――目を見張った。


開いてたのは折り目がついたページで、そこには目も覚めるような金髪碧眼の美女がこの上ない笑顔で写ってたから。


すごい美人……!


世界的なスーパーモデルと言われてもおかしくない美貌。鼻梁が高くくっきりした目鼻立ちのゲルマン系の特徴が出てる。

濃紺のスーツを着てるってことは、働いている人?


すぐに拾わなくちゃいけないのに、どうして私は食い入るように見ているんだろう? 早く手を動かして……拾って!


そう思うのに、体が動いてくれない。


(どうして? ただ高宮さんが外国の雑誌を読んでただけなのに……こんな美人を見てただけで、なんでこんなに動揺する必要があるの?)


< 39 / 390 >

この作品をシェア

pagetop