身代わり王子にご用心



珍しいな。いつもきっちりしている彼が、こんなふうに散らかしたまま眠っているなんて。


雑誌を見れば、英語じゃない。英語なら少しは読めるけど、たぶん、ドイツ語かその辺りだろうと思うけど。


(なんでそんな雑誌を読むんだろ?)


雑誌を拾い上げながら、あれ? と疑問を感じる。それぞれに折り目がついてるページがあったからだ。


(なんだろう? でも、勝手に見ちゃダメだよね)


普段から寡黙であまり自分のことを話さない高宮さん。そのプライバシーに立ち入る権利なんて、私にあるはずがない。見たい誘惑に駆られた頭を振って最後の一冊を拾い上げた時、突然後ろから声が聞こえた。


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