【完】クールな君に胸キュン中!



ムカついて。ムカついて。



俺のせいで、関係のない折原奈乃があんな目にあったのに……。


そんな目にあわせた俺と……俺に好意を寄せるこの女に、イライラした。




――『桐谷くん!』


俺に笑いかける彼女の笑顔を思い出す。


それに引き換え、目の前にいる女の計算し尽くした笑顔にふっと嘲笑がこぼれた。




「? どうしたの、桐谷く……!」



これ以上、喋んな。


お前の声なんか、聞きたくもねぇよ。



俺は阿部の口を手のひらで押さえ、目をスッと細めた。




「バカっぽくて、何が悪い」



「えっ……?」



「要領悪くたって、お前なんかよりずっと可愛いよ、あいつは」



「……!!」




それだけ言い残して、俺は振り返ることもなく、すぐにその場を後にした。




< 114 / 453 >

この作品をシェア

pagetop