【完】クールな君に胸キュン中!
桐谷くんは戸惑いながらも、すみやかに近くにいた同じチームの選手にパスをまわした。
その人がかろやかにシュートを決める。
そのあと、桐谷くんはチームのみんなに肩を組まれたり、背中をバシンッと叩かれたりしていた。
「ナイスパス!桐谷!」
「もう一本、いこうぜ!」
桐谷くんは、みんなの言葉に困惑してるようで、その場で立ち止まる。
どうしたんだろう?と、一瞬、一抹の不安に駆られた。
だけどそれも、束の間のこと。
桐谷くんは、ふっとおだやかな笑みを浮かべたのだ。
そして、チームの中へと溶け込むように、みんなと連携しながら試合を進めていった。
――ピーッ!!
体育館で、大きな笛の音が響く。
「残り、1分!!」
スコアをみれば、【28-26】。
僅差ではあるけれど、あたし達のクラスが負けていた。