王子様の声フェチっ! spin-off
私を置いていった。あの親のことを。

もう、母親なんて呼びたくないけど。

でもたった一人の母親だから。いいの。きっといつか許せる日がくるから。

私はできるだけ速く足を動かして右京の部屋へと向かう。

「おかえりなさいませ。加桜様。」

「ただいま。的場。右京は帰ってる?」

「はい。自室おられますよ。」

「柑也は?」

「先程、坊っちゃんを訪ねてこられました。ひどく塞ぎこんでおられましたが......あとでお茶を三人分お持ちいたします。」

「いや、いいわ。少し、三人だけで話をさせてほしいの。」

「かしこまりました。」

的場は長年、代々、ここに使えている執事らしい。どうやら、その息子も孫も執事になるんだそう。

最も、今は関係のないことだけれど。





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