庭師とお姫様 (naturally番外編)
それでも、彼の姿を見ただけで浮き立ってしまうような心のざわつきを感じる。


それをぐっとこらえて、



「ごきげんよう。お怪我の具合はいかがですか?」



ミリザ姫は庭師の彼の傍へゆっくりと歩み寄っていった。



「おかげさまで快調ですよ」



そう言いながら彼は何やら作業していた手を止めて、包帯の巻かれた腕をぐるぐると回してみせた。



庭師の様子に姫が安堵したのも束の間。



「それは……何をなさってるのですか?」



胡座をかいて座り込んでいた彼の手元には、可愛らし動物の模様がプリントされた布があった。



それが彼のモノとは思いがたく、姫は訝しそうに手元をまじまじと見つめている。
< 22 / 70 >

この作品をシェア

pagetop