透明人間
昇が帰ってきたというのに私が昇に気付いたのは、視界に昇の姿が入ってきてからだ。
昇はあっという間に視界から外れ、ソファーに沈むように座った。そして机の上に足を投げ出し、天井を仰いで大きなため息をついた。そしてその姿はなぜか声とは裏腹で、落ち着いているようであった。
私は突然帰ってきた昇に対し、別に早く帰ってきた理由も聞かずに、昇とは逆の方を向いて顔をテーブルにつけた。テーブルはひんやりとしていて、私の体温を奪っていったような気がした。
すると、後ろから大きな音がして、夢から急に引き戻されたような気がした。そして振り向くと、足を机に叩きつけている昇がいて、そして大きな声で喚くように言った。
「クソッ、クソッ」
昇と目が合うと、昇が私のことを睨んでいるような気がして、私は目をそらすようにまた顔を腕の中に沈めた。しかしその目を見た時、昇の気持ちが私へと流れ込むようにすべてが伝わってきた。
その日を境目に、私と昇の関係は悪化したように思えた。関わりがなくなったというべきであろう。しかしこの日はこれから続く悪夢の序章だとはまだ知る由もなかった。
その夜、私は地方ケーブルのテレビを見て、私がテレビに映っているのを見た。しかしそのもう一人の自分を見ていると、少し複雑な気持ちになった。
「あーあ…」
今日は疲れた。テレビの中の私を見て、前より一層迷惑な電話が増えた。大丈夫とか頑張ってねとか、まったく意味のなさない言葉を吐き捨てて電話を切ってしまう。その対応を繰り返すことが、電話がかかってくることが憂鬱でしょうがなかった。
昇はすることがないらしく、先に寝てしまった。というより、私が取り上げた形になっていて、これまた憂鬱な気分だ。
しかしある程度、私は自分が落ち着いているのを知った。昇がああなってしまっては、自分がしっかりせねばと目的が見えたからだ。今まで何の目的がなく、時間が進むまま身を任せていた。
昇はあっという間に視界から外れ、ソファーに沈むように座った。そして机の上に足を投げ出し、天井を仰いで大きなため息をついた。そしてその姿はなぜか声とは裏腹で、落ち着いているようであった。
私は突然帰ってきた昇に対し、別に早く帰ってきた理由も聞かずに、昇とは逆の方を向いて顔をテーブルにつけた。テーブルはひんやりとしていて、私の体温を奪っていったような気がした。
すると、後ろから大きな音がして、夢から急に引き戻されたような気がした。そして振り向くと、足を机に叩きつけている昇がいて、そして大きな声で喚くように言った。
「クソッ、クソッ」
昇と目が合うと、昇が私のことを睨んでいるような気がして、私は目をそらすようにまた顔を腕の中に沈めた。しかしその目を見た時、昇の気持ちが私へと流れ込むようにすべてが伝わってきた。
その日を境目に、私と昇の関係は悪化したように思えた。関わりがなくなったというべきであろう。しかしこの日はこれから続く悪夢の序章だとはまだ知る由もなかった。
その夜、私は地方ケーブルのテレビを見て、私がテレビに映っているのを見た。しかしそのもう一人の自分を見ていると、少し複雑な気持ちになった。
「あーあ…」
今日は疲れた。テレビの中の私を見て、前より一層迷惑な電話が増えた。大丈夫とか頑張ってねとか、まったく意味のなさない言葉を吐き捨てて電話を切ってしまう。その対応を繰り返すことが、電話がかかってくることが憂鬱でしょうがなかった。
昇はすることがないらしく、先に寝てしまった。というより、私が取り上げた形になっていて、これまた憂鬱な気分だ。
しかしある程度、私は自分が落ち着いているのを知った。昇がああなってしまっては、自分がしっかりせねばと目的が見えたからだ。今まで何の目的がなく、時間が進むまま身を任せていた。