夢見るきみへ、愛を込めて。


雪を待っている。
あんなに頻繁に降っていたのに、一時的なものだったようでぱたりと止んでしまった。

今夜も星が明るい。ずうっと見上げていると、私が真っ暗闇に落ちてしまうみたい。


「深夜3時だよ」

ぼんやりしていた頭が声を拾って数秒後、私はいつのまにかそばに立つストーカーを見つけた。

「こんばんは」

「こんばんは、ってそうだけど。なかなか帰ってこないと思ったら……何してるの」


今日は来ていたらしい。おとといは来なかった。昨日は知らない。私は昨夜から家に帰ることもやめて、公園に来ていたから。


マンションから歩いて10分程度の公園はテニスコートや野球場の他に芝生広場も有していてとても広く、噴水や四阿もあるから休日の昼間なんかは近隣住民で溢れている。


私は公園の入り口にほど近い場所に設置されたベンチで、彼が隣に腰掛けるのを見届けたあと、再び空へ視線を投げる。


「何してたの」

あなたこそ、何してたの。なんて、私と彼がすることは決まっている。

「ぼうっとしてた。寝付けなくて」

話すだけ。他愛なくとりとめのない話を、気まぐれに。


だけど、最近はこれまで避けてきた内容を自ら話している気がする。


「それって外に出る必要ある?」

「ないけど。なんとなく嫌な夢も見そうだから、眠りたくないのかも」

「直感ってやつかあ。俺もあるよ。なんか金縛りにあいそうって。そう思うと絶対あうのなんでなんだろ」

「さあ……。直感なんて、そんないいものじゃないよね」


ああこれ、翠にも言ったな。
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