誰かのために
救急隊員の方に美菜に呼び掛けてほしいと、言われた。だから、ずっと美菜の手を握りながら声かけをした。

病院までの道程がとても長く感じた。


病院について美菜は直ぐに手術室に入っていった。

あたしは、美菜の携帯から美菜の両親に電話をかけ、病院にいることを伝えた。
もう、美菜が手術室に入ってどのくらいになるだろう。

美菜の両親がきた。まさか、自分の娘が…。と、いう顔だった。

あたしは、精一杯状況を説明した。

『あたしも、今日聞いた話しですが、美菜は、学校である男の子関係でいじめを受けていました。そして、今日あたしがいつも通り美菜を待っていたら、理科室の方から音がしたんです。あたしが行った時には、理科の実験用具を保管するガラス戸のついた棚が割れて、その割れたガラスの中に美菜が横たわってるだけで、他に誰もいませんでした。
美菜をもっと早く探せなくてすいませんでした。』
< 25 / 33 >

この作品をシェア

pagetop