【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
不意に、ガラガラと無遠慮に扉を開ける音がして、音のする方をみて驚いた。
すると、そこに立っているその人物も、驚いたように目を見開いていて。
「沢森……」
──木村君は、ぽつりと私の名前を呟いた。
ばっちり視線が合ってしまった手前、そのまま無視するということも出来なくて小さく会釈する。
まさか、木村君がくるなんて予想外だった。
……放課後真面目に勉強するようには、見えないのに。なんて失礼だけどさ。
なんだか気まずいなあ、なんて思いつつまたノートへと視線を落とすと。
「……そっち行ってもいいか?」
なんて、私にとっては爆弾発言が聞こえてきた。
いい訳が無いに決まってる。
なんで木村君とわざわざ、近くに座らなきゃいけないの?
そう思うのに、それをはっきりと言う勇気はなくて。
結局、頷くことしかできなかった。