【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




徐に携帯を弄ってみても、やっぱりする事がなくてすぐに電源を切る。


どうしたもんかなー、と思っていると。


──コンコン、と控えめなノック音が聞こえてきて、俺は腰を上げた。


「はい?」


まだ、約束の時間には早すぎる。


誰だろうか、と不思議に思いながら声をかけると、小さな声が返ってきた。


「……木村君?私です。沢森です」

「沢森……?」


ドキリ、と心臓が跳ねた。


沢森に会うのは、一週間ぶり。つまり、俺が目覚めたあの日以来だ。


あの日沢森が泣いてた理由も何も聞けなくて、ずっと会いたかった。


まさか、沢森の方から来てくれるなんて。


ガラガラ、と引き戸が開いて、花柄のワンピースに身を包んだ沢森が顔を覗かせる。


沢森は俺を見つけると、遠慮がちに微笑んだ。


「こんな朝早くに、ごめんね」

「いや……」



< 304 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop