【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
徐に携帯を弄ってみても、やっぱりする事がなくてすぐに電源を切る。
どうしたもんかなー、と思っていると。
──コンコン、と控えめなノック音が聞こえてきて、俺は腰を上げた。
「はい?」
まだ、約束の時間には早すぎる。
誰だろうか、と不思議に思いながら声をかけると、小さな声が返ってきた。
「……木村君?私です。沢森です」
「沢森……?」
ドキリ、と心臓が跳ねた。
沢森に会うのは、一週間ぶり。つまり、俺が目覚めたあの日以来だ。
あの日沢森が泣いてた理由も何も聞けなくて、ずっと会いたかった。
まさか、沢森の方から来てくれるなんて。
ガラガラ、と引き戸が開いて、花柄のワンピースに身を包んだ沢森が顔を覗かせる。
沢森は俺を見つけると、遠慮がちに微笑んだ。
「こんな朝早くに、ごめんね」
「いや……」