【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




「私、ね」


ドキン、ドキン、と鼓動の音が鼓膜に響いて煩い。


息が、上がりそうで。


「私、木村君の事が好き」


顔が、火照る──……


一瞬、言われたことを理解出来なくて、呆然とした。


「……は?」


好き?

今、俺のこと好きって言ったのか?


「あ、あー……あれか、友達としてとか、そういうこと?」


やっとの事でその可能性を見つけて、苦笑いする。


都合のいいように捉えてしまいそうになって、危なかった。


勘違いするな、自惚れるな、と自分に言い聞かせる。なのに。


「違うよ」


沢森の言葉は、尚も俺を揺らす。


期待、させる。


真っ直ぐな沢森の瞳が俺を貫くから、俺はその場から動けなくなって。


そんな俺に、沢森が静かに近づいてきて、そして俺のことを抱きしめた。


「……っ、沢森!?」


柔らかい感触。

甘い匂い。





< 306 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop