シーソーゲーム
 こんな天気は私も嫌だ。だが私には雲を掻き分け払いのける能力など、持っているはずがない。残念だが、リョウの要望に答えられない。

 バスの運転が荒くなったのか、それとも道が悪くなったのか、よくゆれるようになった。右に左に、その度にミズキの肩に私の肩が当たるのであった。

 それを我慢しながら、背後から聞こえる楽しそうな会話を耳にしていた。それを邪魔するようにバスは右往左往と動く。

「着いたー」

 とりあえず無事に着いてよかった。しかしいくらなんでも何回も来ている所に無事に着くのは当然だ。

 そこは昔、私が家族と連れられて来た所だ。思い出と記憶はかすかで、思い出せないほどではないが、残像がぼやけていた。今こうやって辺りを見渡すと、アルバムに残る、今ではすでに色あせた写真のように、当時の景色とは、大きく変わったように思える。

 二階建てのログハウスに似たところで受付を済まし、前とは違うコテージに泊まることになっていた。

「ここだー」

 コテージに入り、私たちは荷物を投げ出して、冷たく固い床の上に寝転がった。

「疲れたな」

 その言葉を発したリョウの言葉から、その後、まったく話がなかった。しかしその沈黙を破る、ミズの言葉があった。

「ねえ。夕飯とかって、どうするの?」

 リョウが言う。

「野草でも食べるか」

 続いてミズキが。

「コンビニはないかなー」

「そんなわけないでしょ。ほら、立ちなさい。準備するわよ」

「そうだよ。もう日も暮れることだし、早く準備しないと」

 やっとの思いで体を起こして、リュックから持ってきたものを出し合った。

「あんた、何もってきてんの」

「ああ、これ。誰かもってこないかなーって」

 リョウは冗談にもほどがある、缶切りを持ってきていた。

「まあ、しょうがないわ。とりあえず、どうやって分担する?」

「どうでもいいけど、とりあえずさ、作る人と、焚き木を集める人で分けりゃーいいんじゃねえの」

「やっぱり去年と変わらずか…まあいいわ。じゃ、くじで決めましょ」

 そして置いてあったティッシュを四つに切って、その内二つの先端を丸めた。

「ほら、引きなさい。丸まってるやつは作るほうだから」
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