シーソーゲーム
 そういう気持ちが後押しして、私を高揚させる。頬も紅潮し、体もかっと熱くなる。体中のエネルギーが放出されようとしていた。

 リョウとの距離が近くなってきた。胸の鼓動も高まり、息もリョウと交差させていることで、より一層私を興奮へ導いた。

 しかし突然、私の頭の中で、大きな雷が落ちた。あの、ミズとリョウの一場面が脳裏を横切ったのだった。一瞬だったが、それは明確に見えた。二人の姿が、くっきりはっきりと。そしてミズがこのコテージ内にいることを思い出した。

 私は躊躇した。だがそのまま、リョウの額に私の額を当てた。

 あそこでやめて、体を起こした時、私は後悔をするに違いないと思った。なぜなら、すぐ上で私たちをじっと望んでいたところを想像したからだ。私が怒った行為に対して、私だけが許される行為なんて、それすなわち、自己中心的な行為である。

 それだけはどうしても避けたかった。さもないと私のプライドが傷ついていた。

 しかし自分の罪を犯さなかったことに後悔をも感じられた。不思議だった。これは私が決めたことなのだが。

 私はそっとリョウの額にかかる前髪を取り払った。

 リョウは変わらず苦しそうに咳き込み続ける。

 私はできればリョウの代わりにでもなってやりたいと思った。逆の立場になって、リョウに看病されたいとも思った。

 蝉の鳴き声が聞こえる。クーラーが効いている音は無情にかき消されていた。強い日差しはそろそろ消えてなくなる寸前であった。赤い血は乾こうとしている。

 こんなはずではなかった。こんな予定になることはなかった。ミズが林から現れたりしなかったし、雨も降らなかったし、リョウもこんな熱を出すはずはなかった。むしろ今、湖のほとりで二人、燃え尽きるまで夕焼けを見ているところだった。調子も予定も計画も皆狂い、ぶち壊しだ。

 何もこれもすべて、ミズのすべてだ。きっとそうだ。バスの中から狂わされてきた。いや、電車に乗る前からだ。あの時からミズが邪魔に入ってきた。私の針を壊した。

 許さない。絶対。協力するって言ったのに。

 怒りをこみ上げ、そのボールテー時はピークを迎えて叫ばんばかりいると、リョウは苦しみあえぎながら言った。

「ハァ、ハァ…アズサ…そこに…いるか…」

「いるよ。ほら、ここに」
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