シーソーゲーム
 私はもう、自分のことが分からなくなっていた。自分が何をしたいのかが分からない。欲に任せるままにしたら、私は間違いなく後悔する。だがここでやめても、後悔する。この二者択一が私を苦しめ、辛く陥れている元凶だった。

 沈黙は長い。『沈黙の春』がもう訪れてしまったか。外で鳴いていた虫の声も聞こえなくなっていた。差し込む日も刻々と過ぎていく時間と比例して、開いた口がふさがっていくようだった。

 気付いた時、私の隣にミズキがいた。何か話していたようだが、私には聞こえなかった。

「…にしても、だいぶよくなったな」

 私はもう、自分のことが分からなくなっていた。自分が何をしたいのかが分からない。欲に任せるままにしたら、私は間違いなく後悔する。だがここでやめても、後悔する。この二者択一が私を苦しめ、辛く陥れている元凶だった。

 沈黙は長い。『沈黙の春』がもう訪れてしまったか。外で鳴いていた虫の声も聞こえなくなっていた。差し込む日も刻々と過ぎていく時間と比例して、開いた口がふさがっていくようだった。

 気付いた時、私の隣にミズキがいた。何か話していたようだが、私には聞こえなかった。

「…にしても、だいぶよくなったな」

 もっとリョウと二人だけでいる時間が欲しかった。もっとリョウを眺める時間が欲しかった。だがミズキが来て、やっと我に返れた。

「アズサの看病の賜物かもな」

 ミズキは微笑む。
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