シーソーゲーム
ミズはようやく答えることができたことに満足していた。
それとは真逆の位置にいたのが私だった。こんなの答えだとは認めたくはない。
「それじゃ、答えに…」
「とりあえず私の記憶を消してくれればいいわけ。あなたのために言ってるの。まあ、私のためでもあるけど…分かった?じゃあね」
ミズは疾風のごとく去った。それもあまりの早さだったので、言葉も言いかけてしまい、しかも相手に圧倒されたかのように一方的に聞いていた。
残された風に、私の背中を押され、そして震撼した。今まで長椅子のふちを強く手で握っていて、体の震えを制圧していた。だが椅子を揺るがしていて、その揺らぎ勝ちを揺らしているように感じられた。会話をしているうちは気付かなかったが、未知なる世界のまだ見知らぬ地に踏み入ったようで恐ろしかった。心のひびが今にも割れそうで、私のどうしようもない感情が、今か今かと鳩時計の鳩が飛び出てくるのを待っているかのように、その時期を見計らっていた。世界が渦を巻いて回りだして、各地の火山が一斉に噴いたような気がした。まだ明るかったが、大きな空が落ちてくる恐怖感でどん底という言葉が私を襲った。
それにまだ疑問は残る。質問したこともそうだが、第一、記憶の消し方なんて、どうやるのか。そんなこと、私は知らない。念じていればいいのか。ミズの頭を叩くような方法で根本的に根こそぎなくすのか。それともまったく予想できないような方法なのか。それよりもそんなことができるのか。
ミズは途端に見えなくなっていた。
私はどうしようかという咎めもなく、ただ風が吹いてカラスが鳴いたから帰ることにした。その残らない足跡は、私の生きる価値を表しているようであった。
ただ念じた。それだけだ。他にする方法が分からなく、それしかやっていない。何か他の方法はないかと、ミズの夢幻世界に引き込まれていた。それでそのミズに言われた日は眠れずに一晩考えていた。
それとは真逆の位置にいたのが私だった。こんなの答えだとは認めたくはない。
「それじゃ、答えに…」
「とりあえず私の記憶を消してくれればいいわけ。あなたのために言ってるの。まあ、私のためでもあるけど…分かった?じゃあね」
ミズは疾風のごとく去った。それもあまりの早さだったので、言葉も言いかけてしまい、しかも相手に圧倒されたかのように一方的に聞いていた。
残された風に、私の背中を押され、そして震撼した。今まで長椅子のふちを強く手で握っていて、体の震えを制圧していた。だが椅子を揺るがしていて、その揺らぎ勝ちを揺らしているように感じられた。会話をしているうちは気付かなかったが、未知なる世界のまだ見知らぬ地に踏み入ったようで恐ろしかった。心のひびが今にも割れそうで、私のどうしようもない感情が、今か今かと鳩時計の鳩が飛び出てくるのを待っているかのように、その時期を見計らっていた。世界が渦を巻いて回りだして、各地の火山が一斉に噴いたような気がした。まだ明るかったが、大きな空が落ちてくる恐怖感でどん底という言葉が私を襲った。
それにまだ疑問は残る。質問したこともそうだが、第一、記憶の消し方なんて、どうやるのか。そんなこと、私は知らない。念じていればいいのか。ミズの頭を叩くような方法で根本的に根こそぎなくすのか。それともまったく予想できないような方法なのか。それよりもそんなことができるのか。
ミズは途端に見えなくなっていた。
私はどうしようかという咎めもなく、ただ風が吹いてカラスが鳴いたから帰ることにした。その残らない足跡は、私の生きる価値を表しているようであった。
ただ念じた。それだけだ。他にする方法が分からなく、それしかやっていない。何か他の方法はないかと、ミズの夢幻世界に引き込まれていた。それでそのミズに言われた日は眠れずに一晩考えていた。