シーソーゲーム
その理由は単純で明快。だが私はそれを認めたくない。今、私はリョウが好きなのだ。絶対そうなのだ。間違いないことなのだ。それだけは誰にも曲げられない。絶対そうだ。間違いない。そう念じながら歩いていた。
ミズキもこの空気が嫌なのか、私のほうを見るなりすぐに背けてしまう。だが唐突に話し出すのは、やはりミズキだった。
「そういや、夏休みの宿題、終わったか?」
「まだ…」
「俺もまだなんだけど、数学が難しくてできねえんだよ。そういや、今度のテスト範囲、どこからどこまで…」
明らかにあがいているようにしか見えない。ただもがいて、水面から顔を出そうと必死だ。しかしそれは私にとってどうこうと変えるものはない。むしろ私の代わりに助かろうという意志さえ感じられた。
会話は続くが一方的で、私が受身になっていた。どうでもいい世間話はなぜ長く続くのかといえば、その後に残る沈黙が恐くてたまらないのだろう。
私から話すことはなかった。口ずさみ、ああ、そうだね、うんなどを繰り返していた。
神社までの道は長い。去年の十倍はあるのではないか。着物が重く感じられる。下駄が足に大きく負担がかかる。平坦な道が急な坂に変わり、頂上が私を見下ろしている。そしてそれが目の前に立ちはだかるようで、越えるのは難儀に思えた。
しばらく汗をかきながら歩を進めていると、にぎやかな音と声が聞こえてきた。そして視覚的にも明るく愉快な演奏を奏でているのが見えた。みこしを担ぐ騒ぎがこの空気を一気に取り替えた。毎年見る同じような光景なのだが、今年はより一層映えて見えた。目に映る不思議な光景は、輝きを放つ妖精たちが、あっちへこっちへ飛び交い遊んでいるように見えた。満ちる輝きが千の星のようにも見える。夕方の夜景というのがふさわしい。
それに近づくと、やはり歩を早めてしまう。今まで存在していた空気よりも先に、反射的に、決まった動作のように体が動く。
ミズキもこの空気が嫌なのか、私のほうを見るなりすぐに背けてしまう。だが唐突に話し出すのは、やはりミズキだった。
「そういや、夏休みの宿題、終わったか?」
「まだ…」
「俺もまだなんだけど、数学が難しくてできねえんだよ。そういや、今度のテスト範囲、どこからどこまで…」
明らかにあがいているようにしか見えない。ただもがいて、水面から顔を出そうと必死だ。しかしそれは私にとってどうこうと変えるものはない。むしろ私の代わりに助かろうという意志さえ感じられた。
会話は続くが一方的で、私が受身になっていた。どうでもいい世間話はなぜ長く続くのかといえば、その後に残る沈黙が恐くてたまらないのだろう。
私から話すことはなかった。口ずさみ、ああ、そうだね、うんなどを繰り返していた。
神社までの道は長い。去年の十倍はあるのではないか。着物が重く感じられる。下駄が足に大きく負担がかかる。平坦な道が急な坂に変わり、頂上が私を見下ろしている。そしてそれが目の前に立ちはだかるようで、越えるのは難儀に思えた。
しばらく汗をかきながら歩を進めていると、にぎやかな音と声が聞こえてきた。そして視覚的にも明るく愉快な演奏を奏でているのが見えた。みこしを担ぐ騒ぎがこの空気を一気に取り替えた。毎年見る同じような光景なのだが、今年はより一層映えて見えた。目に映る不思議な光景は、輝きを放つ妖精たちが、あっちへこっちへ飛び交い遊んでいるように見えた。満ちる輝きが千の星のようにも見える。夕方の夜景というのがふさわしい。
それに近づくと、やはり歩を早めてしまう。今まで存在していた空気よりも先に、反射的に、決まった動作のように体が動く。