シーソーゲーム
 つまり渋の言うことは正しいのだ。

 私のことを何でも知っていると認識するのは遅かった。私でも知らないような私についてのことを知っているらしい。物事の整理をして、恐れをなしてから同時にこの正体を明かしたく思えてきた。興味さえ覚えてきた。

「あなたは…私のことをどこまで知ってる?」

「あなたのことなら何でも…」

「それだったら、私の本当の心の奥底で、何を叫んでる?」

 渋は相変わらずの口調であった。つまずかず、何事も一言で言い切る。

「リョウのことを自分のものにしたい…リョウを振り向かせたい…」

 やはりそうなのだろうか。私が思っているその通りだった。

「それだったら…どうやったら振り向いてくれるの?」

「あなたの努力次第…」

 努力次第たって、どうすればいいのか分からない。不明だ。不明確だ。

「それってどういうこと?」

「目標実現のために…あなた自身の心身を労して努めること…」

 そうだと思うが、つまり初めから言いたいことは、努力次第で自分の運命は変わるというのでいいのだろうか。

 ここで理由もなく突然に思いつく質問。さっきは上手く質問ができなかったが、この質問ならしかと答えてくれるだろう。

「あなたの本当の目的は?」

 これは間違いないと考えた。今まで質問の仕方が間違っていた。的確ではなかった。普通ではない者に対して、普通に話しかけるように話しても無駄だ。真っ向勝負で、丁寧に言わないとだめだ。

 すると渋も、私が予想しない答えを返す。
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