シーソーゲーム
 不思議だった。なぜかと理由は聞いてこない。

 しかし今はそんなことよりも、リョウの話に、熱心に耳を傾けていた。

「ありがと、リョウ…」

 無事、教えてもらったことにより、ぼやけているが、思い出すことはできた。

 すると突然、ミズキの様態も気になった。

「…ミズキ、元気してる?」

「あ、ああ、元気だ」

 不意を疲れたように、リョウは動揺していた。

 今の段階で、もう話すことはない。

「そう、じゃ、明日、学校で」

 その後のリョウの言葉を無視するかのように、私は早々と電話を切った。もっとリョウと話していたく、声も聞いていたかったが、そのまま話し続けていると、自分の理性を失いそうな気がした。夢中で話して、これからのリョウとの付き合いを分からなくするような気がした。

 自分の部屋に戻り、ベッドの上に座る。なんだかな、と思いながら、これからどうするかを考えて見ようと思った。

 すると渋のことを思い出した。

「渋…航か…」

 すると隣に、その澁がいた。忽然と現れたので驚いた。こいつは幽霊か。

「うわぁあ…驚いた…」

 渋は変わらない形相で、そして例により、外を見ていた。

「あなた…呼んだ…」

 確かに呼んだというより、また話を聞きたいと思った。いろんな話をだ。

 すると渋は、手を私の額に当てた。

「これで…いい…」

 渋は立ち、部屋を出て行った。私はその後を追いかけたが、そこには誰もいなかった。

 今ではそんな現象ごときでは驚かなくなっていた。すでに渋のことを宇宙人だと認め、そう渋に植えつけられたからかもしれない。

 あの渋の行動、私の額に手を当てられた時、私の頭にすべてが入ってきた。私の頭は素直にすべてを受け入れた。私の聞きたい事が入ったのだった。いわゆるテレパシーというものなのだろう。

 私は渋に教えられたとおり、明日のため、これからのための準備をしようと思った。ベッドに横たわり、思い浮かべるだけでいい。それだけで、私の思い通りに動いてくれる。だがいきなり動かしてはだめだ。慎重にやらねば。渋はそう言った。

 チェスの駒のように、一つずつ、正しく整備していくことになった。
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