シーソーゲーム
 だが一番大変な日は今日ではない。今日の電話でリョウに変な不信感を与えてしまっただろう。これから送る日々をどうクリアしていくのが、私の今後の課題である。

 学校でリョウと会った。教室に入った時、ミズキも一緒だった。その教室には渋もいる。私が呼んでおいた。他の人たちもそろっている。しかしその中には中学校からのおなじみもいる。

 私は席に着くなり、この後どうしようかと、深くため息をついた。しかしそれはよかったかもしれない。二人には、今私が何かで悩んでいるように見えたのかもしれなかったからだ。

 それに気を使ったのか、単に普通に疑問に思ったのか、リョウは言った。

「どうしたんだ、そのポニーテール」

 そう。今日はいつものショートヘアではなく、ポニーテールにしてみた。

 少し照れている自分がいたが、リョウにいつまでも見ていて欲しく、必死だった。

「…前と変わらないわよ」

「あ、ああ、そう。ポニーテールにしては…テールが短すぎじゃないか」

 リョウは不思議そうではあった。そしてミズキと小声で話し出した。

 今日は午前で終わりということで、いつもより学校を早く下校することができた。その帰り道、私は二人の後を追うように自転車をこいでいた。昼食としてファーストフード店に入った。私は寡黙のまま、二人に話しかけることはできなかった。まるで他人、別人と一緒にいるようだった。

 だがその空気を壊すものがいた。ミズキだった。

 するとミズキは、この空気を打開する一打を放った。

「今日さ、どこ行くよ」

 単純で普通の会話の始まりに思えるものが、私には救世主だった。

「…あ、それなら、カラオケに行きたい。久しぶりに…」

 つい出た言葉に、私はしまったと思った。久しぶりという単語はNGワードであった。話では、昨日、三人でカラオケに行ったと、昨日のリョウとの電話で聞いた。

 だがリョウはそれを気にしない姿勢であった。いかにも私が天然であるかのような接し方だった。

「何言ってんだ、お前。昨日、行ったばかりじゃねえか」

「そ…そうだっけ。忘れちゃった」

 私はいかにも天然であるかのように振舞った。そすすれば、今後の間違いも、ある程度はこうして緩和されるだろうと考えた。
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