シーソーゲーム
 恐る恐る振り向くと、ルイがいた。何で。

 渋はルイがやってきた方向をじっと見つめ、そのまま動かなかった。

「俺が呼んだんだ。知らなかったみたいでさ」

 だからか。あんたはのんきに笑っているが、あんたは昨日、ルイと接触したって言っているんだよ。そんな顔しないで。

 リョウは笑っていた。

「それでよ。どこ行くか決まってのか?」

 私への質問か。とりあえず、流しておく。

「決まってないよ。これから決めよう」

「お前、行き当たりバッタリだもんな」

 そうして打ち上げが始まったのだ。近くのファミレスで食べて、他にもいろんなところに行ったが、私はその日、一度も浮かれた顔をしなかった。リョウのそばに行こうとすると、ルイがいる。やっと二人だけになれた時なんてひどい。トイレと言って、そそくさと離れていく。それはたまたまなのだろうが、なぜだかリョウとはこれから、疎遠に思えてならなかった。

 夕方に駅前で水崎、小海、氷野、渋と別れて、私たちは帰路に着いた。帰ろうとするが一度振り向き、その時見た渋の顔が、初めて悲しそうに見えた。

 そういえば渋は一日中、顔色一つ変えずに私たちの後をついてきて、ユーフォーキャッチャーをやってみろと言われた暁には、百発百中の腕前を見せた。

 渋は不安だったのだろうか。表情は変わらないが、最近、渋と親密になってきて、だんだん渋の感情というものが分かってきたような気がする。その顔が切なくて、いつまでも見ていられなかった。

 その帰り、ルイとリョウは二人で話をし、ミズキとミズと私は三人で話した。

「じゃあね」

 やっと煩わしいものがいなくなった。

 私はすぐにリョウの隣に着き、話をする。だがリョウはいつもとかわらなし様子で話す。ルイと話すときとは別の楽しみ方で嗜んでいるようだった。ルイといる時とは違う笑顔を見せる。

「私はこっちのほうが家近いから」

「じゃあな」

 別れのY字路でミズは気を利かせて曲がってくれたようだった。ミズとミズキは曲って行って、いよいよ私たちは二人きりになった。二人きりで自転車を押しているのだが、なかなか二人とも乗る機会がつかめないでいた。
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