シーソーゲーム
 私はこのチャンスを逃すまいと、私から積極的に話した。だがなぜかリョウは相槌を打つだけで、めったに会話という会話が成り立たなかった。

 そして気付いてみれば、すでに公園の前を通り過ぎようとしていた。私は必死だった。だが寮は相手に仕様とはしていない様子であった。私にはそう見えた。

 リョウは自分の家の前まで来ると、じゃあな、と言う。

 リョウから離れたくないという思いは変わらないままだった。

「あんたのこと、私好きだよ」

「え…?」

 私も驚いた。どんな会話からこんな言葉が導かれるのだろうか。自分でも予想外の言葉だった。思いをそのまま言ってしまった。

 私は自分の言った言葉に、急に恥ずかしくなり、じゃあねとも言わずに急いで自転車に乗って去った。風が私のモーターを冷やすが、まったく効果が無い。

 リョウは呆然と、ただあいつは何を言ったんだ、と思いながら立ち尽くしていることだろう。

 私は幼馴染の域から外に出たい。ただそれだけのことなのに、リョウはそれをしようとはしない。なぜだか分からない。そこから出るのが恐いのだろうか。それともただ単純に、そんなことを考えたこと無いのだろうか。

 私は家に帰り、ただ真っ赤な顔を冷やそうと必死だった。私はあの時、告白をしていたように思えてたまらなかった。

 私はしていないと、奮い立った気持ちを静めていた。明日からどんな顔をして学校へ行けばいいのだろうか。いっそのこと、記憶を消してしまえば。だが渋は、そのことをあまり頻繁にやるなと言う。本当に、大切な時にその機会が来ると言う。

 私は黙ったままだった。自分の家の自分の部屋で、たった一人で突然、独り言をつぶやくのも変な話だが、それで今私にまとわりつく邪念を取り払えればいいと思った。だけどそれが無理だからこうやって苦しんでいるわけだ。

 しかしどうしたものか。その引きずりは朝まで続いていた。寝ている間も夢でうなされていた。
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