シーソーゲーム
「ねぇ。ちょっと話しあるんだけど」

 ルイだった。話しかけられた時、妙な恐怖感が私に伝わった。

 それは放課後のことで、呼び出されて、校舎と校舎の間の陰に連れられて、湿った土の上に立った。この上は窓がなく、誰にも見られる心配はない。

 そして何用かと思えば、予想していた通りだった。

「アズサ…もしかして、リョウ君と、付き合ってるの?」

 そう思われたことが嬉しい。だが実際そうではないから残念だ。

「最近、リョウ君がおかしくて…」

「付き合ってないよ」

 一言で収めようとしたが、だめだった。

「ウソだ。だって…私との態度が…変わっちゃったんだもん」

「知らないよ、そんなこと言われても」

「ウソだ。だって、だって…」

 ルイは涙ながらもこらえていた。目からは本当の必死さが感じられた。

 この状況を打開するすべを知らない私には、困惑と厄介の二言だった。

「私…リョウ君のことが好きなのに…あなたが邪魔するから」

 その言葉に、さすがにカチンと来た。私の理性は失われていた。

「アンタこそ、私の邪魔しないでよ」

 まるで小学生の喧嘩のような言い合いだ。それにしても、なぜ急にこんな発展になったのか。単なるルイの感じ外であるのに。

 ルイも負けじと言い返す。

「アンタ、ずるいよ…何があったの知らないけど、幼馴染だからって…」

 それが逆に大きなハンディとなっていることも知らずに、ルイは半ベソかいている。

 私は耐え切れず、苦労を知らないルイに思い切りこのやるせない思いをぶつけた。

「何がずるいのか分からない…私だって、大変なんだから」

 ルイはすかさず反撃する。

「大変って、アンタのほうがリョウ君と付き合い長いし、それに…」

 その後の言葉が気になった。だが、その後の言葉を聞く前に、ルイの背後に右から左へ歩く、リョウの姿が映った。

「私…あんたのこと知っているんだからね。神だってことも…全部知っているんだから」

 リョウはこちらに気付いた。足は止まったままだった。

 私は急いでルイを止めようとした。だが遅かった。言った後だった。
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