シーソーゲーム
リョウもそのことに驚いていた。煙のように現れた渋のほうを振り向いた。
「お前…いつの間に」
「…ルイは消えた…もういない…そしてあなたは知った…彼女のことを」
「え…何が…だ」
私のほうを向いて何か助言を求めようとしたその時、リョウは地面に向かって倒れるところだった。
それは渋が手刀でリョウの首辺りを打ったのだった。
リョウは腹から地面に落ち、冷たかろう地面に横たわった。
「何やってるの、コウ」
「…心配しない…気絶しただけ…」
渋はリョウを見て腰を下ろすと、リョウの首筋をさすった。
「…ほら…今のうちに…」
渋が私に何をしろというのか分かった。いつかのことだ。本当に、大切な時にその機会が来ると渋に言われた。
「…早く…授業始まる…」
それが心配で急かしていたのか。誰もが口をそろえて言うだろう。心配の対象が違うだろう。
「おい。瀬上はどうした」
先生はリョウの席を見て言う。このことは私と渋しか知らない。
「分かりません」
ミズキは答える。
ミズキの後ろの席はない。なぜなら岸瑠衣はいないからだ。そのことは誰も知らない。私しか知らないからだ。渋は知らない。私以外の人から記憶を消してしまったからだ。
しかしそのことで、ルイは完全に消えた。存在、名前、姿形、影、その辺に落ちている髪の毛一本さえも消えた。彼女の注意不足で、間違いなく彼女の責任であることは間違いないが、いやはや、私も責任を感じる。しかし天敵がいなくなるのは不幸中の幸いかもしれない。だが人一人消えたのは、もちろん喜ばしいことではないことは分かっていた。
私は何を考えているのだろうか。もはや自分の理性を失いかけていた。人が消えたのを、喜びに変えようとしている自分がいたことを、だんだん腹立たしく、そして妬ましく思えてきた。
消えたルイの身にもなれば、本当はもっとリョウのそばにいたいと、また幸せにしたくなりたいと。しかしそれはできない。私が代わりにそうなるだろう。だがやはり、人一人消えて、しかもその穴を埋めるものになろうというのは虚しく感じ、やるせなく思えた。やはり進路は自分で決めるべきだろう。
「お前…いつの間に」
「…ルイは消えた…もういない…そしてあなたは知った…彼女のことを」
「え…何が…だ」
私のほうを向いて何か助言を求めようとしたその時、リョウは地面に向かって倒れるところだった。
それは渋が手刀でリョウの首辺りを打ったのだった。
リョウは腹から地面に落ち、冷たかろう地面に横たわった。
「何やってるの、コウ」
「…心配しない…気絶しただけ…」
渋はリョウを見て腰を下ろすと、リョウの首筋をさすった。
「…ほら…今のうちに…」
渋が私に何をしろというのか分かった。いつかのことだ。本当に、大切な時にその機会が来ると渋に言われた。
「…早く…授業始まる…」
それが心配で急かしていたのか。誰もが口をそろえて言うだろう。心配の対象が違うだろう。
「おい。瀬上はどうした」
先生はリョウの席を見て言う。このことは私と渋しか知らない。
「分かりません」
ミズキは答える。
ミズキの後ろの席はない。なぜなら岸瑠衣はいないからだ。そのことは誰も知らない。私しか知らないからだ。渋は知らない。私以外の人から記憶を消してしまったからだ。
しかしそのことで、ルイは完全に消えた。存在、名前、姿形、影、その辺に落ちている髪の毛一本さえも消えた。彼女の注意不足で、間違いなく彼女の責任であることは間違いないが、いやはや、私も責任を感じる。しかし天敵がいなくなるのは不幸中の幸いかもしれない。だが人一人消えたのは、もちろん喜ばしいことではないことは分かっていた。
私は何を考えているのだろうか。もはや自分の理性を失いかけていた。人が消えたのを、喜びに変えようとしている自分がいたことを、だんだん腹立たしく、そして妬ましく思えてきた。
消えたルイの身にもなれば、本当はもっとリョウのそばにいたいと、また幸せにしたくなりたいと。しかしそれはできない。私が代わりにそうなるだろう。だがやはり、人一人消えて、しかもその穴を埋めるものになろうというのは虚しく感じ、やるせなく思えた。やはり進路は自分で決めるべきだろう。