シーソーゲーム
 また川上は不気味な笑みを浮かべ、今度は薄気味悪い笑い声ももらした。すると川上はジャンプをしてみせ、渋の攻撃をよけて見せた。

「不覚…」

 そのまま川上は私の前に着地をした。何が目的なのか。私にはその先が見えない。

「フフ…死になさい…」

 私に振り下ろしたのは斧だった。どうやら川上の体は自在に変形させることができるらしい。

 私は目をつぶり、その時ばかりは死を覚悟した。だが、いつになっても死んだような感じはない。痛みはない。

 恐る恐るまぶたを開いてみると、口を開いて腕は斧ではない川上がいた。目線が上で、膝はがくがくしている。上がっている腕も、立っているのもやっとの足も、直に地面に落ちた。

「遅い…」

 渋は川上を仕留めたらしい。背中と首と頭に、尖端のある光が刺さっているのに気付かなかった。血は出ていない。傷跡しか残らない攻撃だということを、私は知らなかった。

 川上は地面に伏せ、そしてルイとは違い、赤い真っ赤な血の代わりに火が彼女を包み、彼女を消し去った。

 渋は平然とそれを見ていた

「ねえ…なんなの、これ」

 私は今の状況を飲み込めないでいた。これを飲みこねばならぬとは思わなかったが、素直に知りたかった。

「ここは…時空不限空間…彼女が支配していた空間…」

 そんな空間はまだ知らなかった。

「なんなの、それ」

「時と場所が定められない空間…この空間は内部からも外部からも出ることや入ることはできない…手出しもできない…唯一絶対支配者が歪められる空間…彼女はこの空間の神だった…」

「それなら、川上さんのほうが有利じゃないの?」

「…そう…」

 つまりすべてにおいて、渋のほうが優れているということだろうか。遠まわしにそう聞こえた。そんなことを思い、川上が消えたことには一切興味がそそられなかった。

 もう驚くことなどなかった。川上はもともとこの世にはいない存在であり、それが消えた。この世には変動はないにしても、やはりどこか胸が痛む。
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