シーソーゲーム
「あの子は何だったの?」

「…裏切った…」

 私が創った宇宙人で、私に従順だったはずだった彼女が、なぜそんなことをするのか。

「なんで私を裏切ったの?」

「彼女は知りすぎた…それは、狙い…欲には勝てなかった…彼女はこの宇宙を…支配しようとした…」

 私はなるほどと思った。私は元に戻った後、渋からあらゆることの、すべてを教えてもらっている。だから宇宙の仕組みは知っているのだった。そして私が神である理由はもちろん、その後継方法も知っている。

「つまり、これからも?」

「私たちが努力してる…」

 渋なら大丈夫だろうと安心する。しかし他に、誰がいるのだろうか。それだけは渋も教えてはくれなかった。

「それで…どうやってここから出る?」

「支配者がいなくなった今…直、消える…」

 しばらく待ってみた。すると膜は薄くなっていって、もとの色が見え始めた。

 渋がいたほうを見ると、もう渋はいなくなっていた。辺りを見回し、リョウの姿も見えない。だが林の向こうから声がする。私はそちらのほうに向かった。

 リョウは大きな声を上げながら探していたので、いくら周りに人がいないといえども恥ずかしかった。リョウは私に気付いた。そして走って心配そうな顔をした。

「どうした…いなくなったと思ったら、本当にいないんだもんな…」

 息を切らして、私の肩に手を乗せる。汗をかき、そして声はかすれかかっていた。

 よっぽど心配してくれていたようで、私はこの上ない喜びを感じた

「いや、ちょっと…川上さんと話してて…」

「あ、そうだ。川上さんは?なんでここにいたんだ?」

「あ、それは…彼女が転校するから…明日引っ越すんだって」

「え、そうなのか。それだけのために?」

「う、うん…そうらしい。もう帰っちゃった」

 そんなはずがない。もう消えているのだから。我ながらいいデマを話した。これでいなくなった理由もかたが着く。しかし怪しみはしないだろうか。普通なら、そんなことを伝えるために、わざわざこんな山奥まで来ない。

 だが明日引っ越すという言葉が利いたのか、リョウは特に怪しんだ様子はなかった。
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