シーソーゲーム
 あんなのリョウじゃない。いつものリョウなら丸と手で表してくれるはずだ。絶対、今日のは違う。あれは間違いであって、私の失敗ではない。

「違う…」

 その時渋はいた。ベッドで崩れている私を見ていた。ここ最近、渋とよく話す。前までは私についてのことが主だったが、世間話なんかもよくする。しかしその時は決まって世界情勢やニュースについてである。

「違うって何よ」

「だから…違う。あなたは過信…しすぎた…突き進めば突き進むほど…猪突であっても成功すると思っていた。そこが…違う」

「え…じゃ、私は、何をすればいいのよ。私、不器用だから…分からないよ」

 渋は近づき、私の隣に座った。

「私が言ってもいいけど…本当に…言ってもいいの…自分でやり遂げねば…本当の未来はつかめない…」

 最近渋はやけにつき話す態度に変わっている。

「リョウは…待ってと言った…ならば…待てばいい。それがいつになろうと…または…自分で進むか…これは私の言葉ではない。あなたの進める二つの道…」

 そう言い残すと、無表情のまま部屋を出て行った。

 まったく嵐のように来て嵐のように去ったというわけだが、私は確かにその道しかないことに気付いた。戻るといっても、変化は見られそうにない。なるほど今を変えねばならぬ渋の意見は正しかった。渋をはるか昔の時代に飛ばして世界を変えてみたい。

 私はため息をつき、自分がやっていたことを改まった。前と比べると、開き直りと包容力は増していた。

 あの時、確かにリョウは分からないでいた。もしかしたら今までの、つまり夏休みでの遊びや花火の帰りの出来事なんかも、リョウは私が突発的に誘い、そして幼馴染だとして好きだと解釈したのかもしれない。それを私は勝手に違う意味で理解していた。それなら私のほうに大きな過失があったのではないのか。

 私はすぐに携帯電話取り出した。今から会うには、あれから大して時間も経っていなく、恥ずかしかったので、メールで謝罪をすることにした。きっとリョウもまだ、私の行動に対して困惑していることだろう。

「いきなりゴメンね。私、動転してて…本当にゴメン!!」
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