シーソーゲーム
 水崎はベース、渋はギター、成城はドラム、そして私はギターとヴォーカル。ギターと言っても、大体背負っているだけだった。中学の頃、私は水崎と、他の学校に散らばった友達とバンドを組んだことがある。

 だから実際の話、曲と歌詞を作るだけで夏休みは終わってしまったものだ。

 練習はそれからで、それから一ヶ月経ったが、ようやく合ってきたのだった。いや、合わせるのは私と水崎で、渋と成城には申し分がない。もう本番まで時間がない。より一層練習をせねばならない。放課後、私と水崎で練習を続け、教室にはクラスメイトが残って準備する中、私たちはノルマとそれ以上の働きを示し、早く返してもらうことに成功した。

 そして初めて合ったのは、前日のリハーサルだった。その時は歌わず、曲だけであったが、通してずれはなかった。

 私たちは顔を合わせ、初めて会った喜びを隠すことはなかった。互いに達成感を感じ、明日はきっと大丈夫だと確信と自信を持てた。

 そしてそうして帰りに仲良く帰り、明日のことを称えて別れた。

 しかしそうやって浮かれていた晩のことである。携帯が鳴った。

「はいはーい」

「もしもし、アズサ?ちょっと、やっちゃったんだけど…」

 それは水崎だった。どうやらあせっているようだった。私はもしやと思った。

「ごめん…指…怪我しちゃって…」

 予想通りだった。水崎は電話の向こうで泣きそうだった。

「ごめん…最後に練習をしようとしたら…指、切っちゃって…あんなに練習したのに…」

 ついに泣いてしまったようで、もう何が何だか。

 とりあえず、どうやら相当厳しい状況に立たされているのが分かる。そして一つの案が思いついたのだった。

「大丈夫。大丈夫だよ。何とかするから」

「何とかって?」

「大丈夫。何とかするから。じゃ、明日学校で」

「あ…ちょ…」

 私は電話を切り、また新たに電話をかけた。

「早く出ろ…」

「…何だよ」

 どうやら寝ていたようで、起こされたことに不機嫌だ。

「いや、ちょっと…というより、かなりやばい状況だから、コンビニに来て。今すぐ」

「は?何だよ、いきな…」
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