シーソーゲーム
「まあ…あるっちゃ、あるけど…」

 やるって言っていることだし、まあそんなことはどうでもいいか。

「じゃ、それ、分かってるわよね」

「ああ。俺はベースだろ。後、曲も書きかえる。いいだろ?」

「ちょっと。それじゃ、崩れちゃうでしょ、全体が」

「大丈夫、大丈夫。さりげなく、引っ張る感じにするから。それよりも何か。全部書き換えてもいいんだぞ」

「いや、遠慮しとく」

 風は吹いてきた。強く、寒かった。こんな時期にスカートなんかで来るのではなかったの後悔している。

「あ、そうだ。何か買ってよ」

「は?なんでだよ」

「待たせた罰。それに笑ったのも。カレーまんがいい」

「おいおい…今月小遣いが…」

「さ、入ろう」

 コンビニの中に、二人は消えていく。そして温かい丸い黄色い月のようなものを持って、外に出た。その半月を、リョウに分けた。


「さ、いよいよだね」

 ステージ裏で、私たちは待った。そこで水崎は一人落ち込んでいる。

「大丈夫だって。俺が出るから。こいつより上手いし、頼りになるぜ」

 リョウは私を指差す。

「何よ。私が書いたんだからね」

 この学校の文化祭は、一般公開が二日間。前夜祭はなく、後夜祭がある。吹奏楽部や演劇部、コーラス部などが体育館を使って一日目に発表する。そして二日目は軽音楽部とバンド。登録したグループのみ出ることができる。そして後夜祭。投票で選ばれた水槽学部からバンドまでをリクエスト的な方式でまたライブをする。それは三組しかできない。

 私はそこまでこだわっていない。単なる思い出残しだ。

 そういうことで、一日目はいつも仲良くしている友達と回り、その後リョウらと回り、最後に何回か曲を合わせた。その時はリョウも不満足な顔をして、一度やっては書くの繰り返しだった。おかげで時間がかかって疲れてしまった。

 そんなことを思い出しながら、先のステージでの演奏は終わり、ついに私たちの番になっていた。素直に、緊張していた。足が笑っているようだった。

 ステージ上に上がると、ライトは強く照らし、熱かった。まぶしい真夏の太陽を浴びながら、挨拶をして始めた。観客はそんなにいない。先のバンドはひどかった。リョウもひどい顔をしていた。
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