シーソーゲーム
駆け抜ける風が気持ちいい。
「風が気持ちいいわね、リョウ」
「そうだな」
「そういえばさ、久しぶりだね。こうやって乗せてもらうのも」
「そうだな」
風が私をよぎる。
「ねぇ。最近、ルイと仲がいいみたいけど、どんな進展なの?」
「…何だ。嫉妬か?」
「ううん、別に…最近、仲がいいみたいだなって」
変わらないトーン。いつもと変わらず発展しない、粗末な話。聞きだしたい話もろくに聞けない。とりあえず、この空気は嫌だと、このことを打開すべく、私は一つの案を思い立った。
「そうだ。あそこ行こう。絶景丘」
「は?さっき俺をタクシーじゃねえって行ったばっかじゃねえか」
「いいじゃないのよ。あんたん家から近いんだし。ほら、急いで。ゴーゴー」
自転車の再度を私は蹴り続け、それに参ったのかリョウは折れた。
「…ったく。しょうがねえな」
別れのY字路。住宅街。公園。すべてをさっそうと通り過ぎて、リョウの家の前の道を曲がる。ここからほどほどな坂道がずっと絶景丘まで連なっていた。それを二人乗りで、リョウは立ちこぎになった。
これは無理かなと、私は荷台から降り、後ろから押した。
「ほら、頑張って」
「おお。ありがとな」
もう大丈夫だろうというところで私は押すのをやめ、丘に向かって走り出した。
「ほら、早く早く」
丘を上がり、私の目に映ったのは、素晴らしくきれいな夕焼けだった。やはりそこで見るのはいつになっても変わらない気持ちでいられた。
「やっぱりきれいだね、リョウ」
リョウはまだ自転車を立てていた。
「ちょっとぐらい待てよ…ったく」
私たちは並んで立っていたが、直に感服したようにベンチに座った。
「きれいね。やっぱり」
「そうだな…」
炎のごとく、真っ赤に燃えていた。雲が夕陽にかかり、雲に夕陽が反射し、幻想的な景色だった。はるか遠くに海が見えていた。めらめらと、焚き火のように燃えている。
それにしても、私の視界に入るリョウが何とも邪魔で、気がかりだった。
「風が気持ちいいわね、リョウ」
「そうだな」
「そういえばさ、久しぶりだね。こうやって乗せてもらうのも」
「そうだな」
風が私をよぎる。
「ねぇ。最近、ルイと仲がいいみたいけど、どんな進展なの?」
「…何だ。嫉妬か?」
「ううん、別に…最近、仲がいいみたいだなって」
変わらないトーン。いつもと変わらず発展しない、粗末な話。聞きだしたい話もろくに聞けない。とりあえず、この空気は嫌だと、このことを打開すべく、私は一つの案を思い立った。
「そうだ。あそこ行こう。絶景丘」
「は?さっき俺をタクシーじゃねえって行ったばっかじゃねえか」
「いいじゃないのよ。あんたん家から近いんだし。ほら、急いで。ゴーゴー」
自転車の再度を私は蹴り続け、それに参ったのかリョウは折れた。
「…ったく。しょうがねえな」
別れのY字路。住宅街。公園。すべてをさっそうと通り過ぎて、リョウの家の前の道を曲がる。ここからほどほどな坂道がずっと絶景丘まで連なっていた。それを二人乗りで、リョウは立ちこぎになった。
これは無理かなと、私は荷台から降り、後ろから押した。
「ほら、頑張って」
「おお。ありがとな」
もう大丈夫だろうというところで私は押すのをやめ、丘に向かって走り出した。
「ほら、早く早く」
丘を上がり、私の目に映ったのは、素晴らしくきれいな夕焼けだった。やはりそこで見るのはいつになっても変わらない気持ちでいられた。
「やっぱりきれいだね、リョウ」
リョウはまだ自転車を立てていた。
「ちょっとぐらい待てよ…ったく」
私たちは並んで立っていたが、直に感服したようにベンチに座った。
「きれいね。やっぱり」
「そうだな…」
炎のごとく、真っ赤に燃えていた。雲が夕陽にかかり、雲に夕陽が反射し、幻想的な景色だった。はるか遠くに海が見えていた。めらめらと、焚き火のように燃えている。
それにしても、私の視界に入るリョウが何とも邪魔で、気がかりだった。