blue moon
「最後に残ったのが
ばあちゃん」

青夜は
その時の出来事を
思い出しながら
少し笑った。

「春だったけど
その日は寒かったし
ばあちゃんは
雨がやむのを待ってるわけよ」

青夜は
テーブルの上で
トントンしてたタバコにようやく火をつけた。


「したら
一人の女の子が来て
ばあちゃんに何か
話しかけとんねん」

アタシはダマったままでいた。

「多分な
自分のカサを
ばあちゃんに貸そうとしてて…」

「ばあちゃんは遠慮してたみたいやけど
女の子は
ばあちゃんにカサを
手渡して見送ってた」

アタシは下を向いた。
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