Candy House
あたしの部屋の向かい側に、今度は黄色のバラが描かれているふすまがあった。

「ここがリビング兼キッチンね」

安部さんはガラッとふすまを開けた。

ここも和室だった。

毛並みがよさそうな白いじゅうたんのうえに、こたつが置いてあった。

「じゃ、俺は飯作ってるから」

安部さんはそう言って、キッチンの方に向かった。

「座ろうか?」

「はい」

上野さんに促され、あたしは彼と一緒にこたつに入った。

「今のうちに親御さんに話したら?

就職先が決まったことと、住み込みで働くことになったことを…」

「あたし、身内がいないんです」

上野さんの言葉をさえぎるように、あたしは言った。
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