一緒に、帰ろうよ。
「ただいまー」
家に着くと、部屋に電気が灯ってた。
どうやら母さんがいるらしい。
「ただいま」
リビングのドアを開けると、母さんは夕食の支度をしていた。
俺が帰ってきたことに気がつくと、振り返って、
「おかえんなさい」と言って再び料理に向き直った。
母さんは、ホテルのシェフをしていて、
料理はびっくりするほどうまい。
「今日、リゾットやけどええ?」
「ああ、いいよ」
母さんは産まれも育ちも大阪で、
父さんと結婚して東京に来てからも大阪弁は抜けていない。
「あ、そういてば、またあんたミコちゃんと帰って来たん?
仲ええなあ」
母さんはそう言うと、ケラケラ笑った。