完璧上司は激甘主義!?
「ちょっと斗真!?汚いんだけど!!」

斗真の口に含まれていたビールは私めがけて放たれた。

「バッ……!麻帆が可笑しなこと聞いてくるからだろう!?」

完全に斗真が悪いはずなのに、自分は悪くないと言わんばかりに文句を言いながらおしぼりで口元を拭いている。

「別に可笑しなことじゃないし!」

「どこもかしこも可笑しなことばかりじゃねぇか」

そりゃ確かに斗真の言う通りかもしれない。
でもさっき言われちゃったんだもん。何度も何度も「天使ちゃん」って。

斗真と同じように濡れた服をおしぼりで拭きながらも、ポツリと言葉を漏らす。

「だってさ、速見さんが私のこと“天使ちゃん”って言っていたんだよ?それも何度も」

そうだ。何度も言われたのだから間違いない。
私は確かに言われたのだから。
そう言われてしまったら気になっちゃうじゃない?
もしかしたら私は他の人の目には、そう見えるのかもしれない、と。

だけどそんなのやっぱり思い過ごしだったようだ。
目の前にいる斗真を見れば、そうすぐに納得できる。

「……麻帆、サロンに行って頭打ってきたのか?」

「ごめん、なんでもないわやっぱ」

本気で心配そうに私の顔を覗き込んできた斗真に、自分で聞いておきながら恥ずかしくなってきてしまった。
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