完璧上司は激甘主義!?
なのに言葉がうまく出てきてくれない。
喉元でつっかえているような感覚だ。

「とりあえず部屋に入れてもらえないか?新に渡したいものがあるんだ」

「渡したいもの、ですか?」

少しだけ目尻に皺を作って微笑む南課長に、トクンと鳴る心臓。

「あぁ、失礼するよ」

優しい顔に視線を奪われてしまっている間に、南課長は私の目の前を横切り、部屋へと上がっていく。

「わっ!?南課長!!」

慌ててドアを閉め後を追い掛けるものの、南課長は既に綺麗な状態で保たれているリビングを、感慨深そうに見回していた。

「驚いた。本当に綺麗だ。偉いじゃないか」

目を輝かせ、まるで子供を誉めるかのような言葉。
なのに嬉しくて、ちょっぴり恥ずかしい気持ちにさせられる。

なぜ南課長が今、私の部屋にいるのか分からない。
だけどよく考えてみたら、理由はどうであれ今日来てくれたのは、好都合なのかもしれない。

もう私は南課長の指導を受けなくても大丈夫だって分かってくれたでしょ?
今はふたりっきりで、気持ちを伝えるチャンスだし。
それに、玉砕しても明日も休みだから気持ちの整理をつけられる時間もある。

まさに今、気持ちを伝える最大のチャンスであり、その時なんだよ。
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