完璧上司は激甘主義!?
そうなのだ。
新作ドレス発表会や契約の際でも、本人は決して現れないのだ。
だから彼女の素性を知る人を、俺は知らない。

そんな彼女相手に、どう新作ドレスの交渉をしたらいいのか。といつも裕介が頭を悩ませているのをよく見かける。
俺達だっていつも企画書を上げる際、誰もが高畑ミミの新作ドレスを売りにしたプランを考えはする。
だけどそれが叶うはずもない。

「彼女のドレスが着られるってだけで、きっと殺到しますよ」

「そうですね」

所詮こうやって夢に見るだけで終わってしまう。
展示会だってすでに注文を受け、制作したドレスが飾られているだけだ。

ブースでは契約をものにした会社の社員が、鼻高々にしながらドレスの説明をしている。
そんな社員を横目に見ながら、次のブースへと移動した。




「お疲れ様でした」

長時間に及ぶ視察も終わり、一緒に回った取引先に挨拶を済ませ、予約を入れてあるホテルへと向かう。
時間を見れば十八時過ぎ。
紙袋ふたつには、沢山の資料とサンプルが入っていて重い。
会場近くに予約を取ってもらったホテルにチェックインし、部屋に入り荷物を置いた瞬間、一気に開放感に包まれる。
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