完璧上司は激甘主義!?
信じられない言葉に、もう既に資料に目を通している南課長を凝視してしまった。
すると当然その視線に気付き、南課長は顔を顰めた。

「……俺が一緒に行ったらおかしいか?新の上司として当然だろう?ましてや初めてのことなのだから」

「あっ!はい、それはもちろん!」

当たり前、だと思う。
私企画なんてやったことないし、全てが初めて尽くしだし。
普通に考えれば分かることなのに、どうして気付かなかったのだろう。

「決まったらすぐに知らせます。……よろしくお願いします」

「……あぁ」

頭を下げ上げると、既に南課長は仕事モードに戻っていた。
「失礼します」と声をあげ、自分のデスクへと向かう。

上司と部下なのだから、当たり前。
でもその当たり前さえ“嬉しい”と思えてしまう私は、本当にどうしようもなく南課長に未練たらたらなのだと、思い知らされる。

「どうしよう……本当」

大高さんとあんな賭けをしてしまったけれど、私はちゃんと南課長のことを忘れることなんて出来るのだろうか。
こんな業務的な些細なことで喜んでしまっているというのに。

南課長に呼ばれるまでは、あんなにパソコンと向き合えていたというのに、今は無理だ。
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