完璧上司は激甘主義!?
「僕は、幼い頃からデザイナーになるのが夢でした」

カップを手に取ったまま、ぽつりぽつりと話し始めた大高さん。

「その夢のために、ひたすら頑張ってきました。夢が叶った今もそれは同じです。……でもきっと、いつの間にか忘れてしまっていたんです。幼い頃願った夢への気持ちを」

そう言うと大高さんはカップをテーブルの上にそっと置き、ジッと私を見つめてきた。

「その大切な気持ちに気付かせてくれたのは、新さんでした。……店先で僕のドレスを見つめる瞳はキラキラと輝いていて、動くことなく見惚れてくれたことが嬉しかった。……だから店内へ招き入れました。そして新さんと実際に話をしてみて、ますます僕が失っていたものを取り戻していきました。そんな新さんと仕事がしたい。そう思ったのは確かです」

「大高さん……」

カップを持つ手の力が強まる。

「だけど、新さんと会ってからずっとあなたの笑顔が頭を離れませんでした。……本当、いい歳して恥ずかしい話ですが一目惚れだったんです、きっと。……初めてでした。こんなにも気になる女性は。だから新さんの気持ちもすぐに気付きました。だからあんな賭けの話を持ち掛けたんです」

そう言うと大高さんは自傷気味に笑った。
まるで私が今日、ひとりで来た意味を全て悟っているかのように――。
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