完璧上司は激甘主義!?
「うまく言えませんが、職業病……とも言うのでしょうか。人の気持ちというものにすごく敏感なんです。だからこそ、その人に合う服を作れるのかもしれませんがね。……長所でありながらも時々はこうやって短所にも成り得ます。……この前は強引に賭けの話を了承させてしまいました。ですからもう一度言わせて下さい」

大高さんは私を見つめたままだった。
優しい瞳を持つ大高さん。……なのに今はその優しい瞳に金縛りにかけられているように、動けない。

「新さん……僕と賭けをしませんか?」

私のひとつひとつの表情を確かめるように放たれた言葉――。
大高さんはきっと、私がなにを言いたいのか分かっているんだ。
だからまたこんな話をしているんでしょ?
どこまでも勘が鋭い人だ。

だけどここで逃げるわけにはいかない。
私はまさにその話をしに南課長には内緒で来たのだから。

大高さん同様、手にしていたカップをテーブルに置き真っ直ぐ大高さんを見つめた。

「ごめんなさい。……その賭けはできません」

はっきりと伝えた。
賭けはできない。

「どんな結果になろうと、私は南課長のことを諦めることは出来そうにありません。……大高さんとは恋愛できません」

正直な気持ちは、大高さんを傷つけるだけのものなのかもしれない。

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